借金も相続対象に!?マイナスの財産である借金の相続を逃れる方法と注意点を解説

お役立ち情報 2024.02.13
借金も相続対象に!?マイナスの財産である借金の相続を逃れる方法と注意点を解説

相続と聞くと財産を受け取ることができると思いがちですが、その財産はプラスのものばかりではありません。マイナスの財産、つまり借金も相続対象となってしまい、被相続人の借金を相続人は代わりに返済しなければいけなくなるのです。

この記事では、借金を相続してしまったらどうすれば良いのか、相続放棄の手続き方法やそのメリット・デメリットなどについてまとめています。

この記事の目次 表示

亡くなった人の借金は相続人が引き継ぐことになる

相続には、不動産や預貯金といったプラスのものだけでなく、借金のようなマイナスのものもあります。

借金は相続人に引き継がれるため、仮に父が亡くなったのであれば母や子供が変わりに返済しなければいけなくなるのです。

借金の相続割合は、法定相続分に則って行われます。父の借金であれば、配偶者である母が2分の1を、子どもが残りを相続するわけです。

また、離婚した親の借金も、子どもが相続することになります。長年連絡を取っていない状況でも返済義務が発生するため、注意が必要です。

被相続人の借金を調べる方法をチェック

被相続人に借金があるかどうか、生前から把握していることは少ないと思われます。被相続人の借金有無を相続人が調べるためには、どうすれば良いのでしょうか。

主な方法としては、次の2つが挙げられます。

  • 借入の契約書や口座振替状況を確認する
  • 関係機関に問い合わせる

消費者金融やクレジットカードのキャッシングなどを利用している場合は、契約書があるはずです。まずは契約書を探してみましょう。また、契約書がなくても督促状があるかもしれませんので、郵便物をチェックしてみるのも大切です。

返済を口座引き落としで行っているのであれば、預金通帳を確認・記帳することで借金状況を知ることもできるでしょう。

ただし、これらのアナログな方法では見落としがあるかもしれません。そこでおすすめしたいのが、関係機関への問い合わせです。

借金をすると、必ず個人信用情報にその情報が登録されます。信用情報機関は、次の3つです。

借金先によって登録される信用情報機関が異なります。ですから、どこから借金をしているのか分からない状態では3か所すべてに問い合わせをすることが必要なのです。

では、各信用情報機関への照会方法や照会手数料、支払方法を確認しておきましょう。

①照会できる人②照会方法③必要書類④費用
KSC ①法定相続人
②郵送のみ
③登録情報開示申込書
④定額小為替(1,000円分)・本人開示手続き利用権(1,200円程度)
CIC ①法定相続人
②被相続人との関係が分かる書類(戸籍謄本など)
③窓口、インターネット、郵送
④定額小為替またはクレジットカード(1,000円)※窓口照会は500円
JICC ①法定相続人、2親等以内の血族
②信用情報開示申込書、被相続人との関係が分かる書類(戸籍謄本など)
③窓口、郵送
④定額小為替またはクレジットカード(1,000円)※窓口照会は500円

いずれも、法定相続人であれば開示請求することができます。借金はない、と思っていても念のためチェックしておくと良いでしょう。

連帯保証人だったときの借金も返済義務が生じる

相続した借金の「連帯保証人」だった場合は、返済義務はどうなるのでしょうか。連帯保証人となるケースとしては、2つ考えられます。

  • 被相続人が第三者の連帯保証人となっている場合
  • 相続人であると同時に、被相続人の連帯保証人である場合

まず、「被相続人が第三者の連帯保証人になっている」場合です。この場合は、第三者が返済できなくなった際に相続人にも返済義務が生じてしまいます。

相続人が複数いる場合は、法定相続分に応じて相続人が返済することとなるのです。

被相続人が賃貸物件の連帯保証人になっていた場合も引き継ぐことになりますから、契約者が滞納すれば代わりに支払わなければいけません。

しかし、このケースでは相続を放棄することで被相続人である故人の借金は相続せずに済みます。

一方、「相続した相続人が被相続人の借金の連帯保証人になっていた」場合はどうでしょうか。

相続人自身が連帯保証人になっているのであれば、相続人の保証債務が残るため支払い義務もなくなりません。

連帯保証人としての支払い義務を果たす必要がありますし、借金返済が難しければ債務整理などの手続きを検討することになるでしょう。

自分自身が連帯保証人なのか、被相続人である故人自身が連帯保証人なのか、しっかりと分けて考える必要があるのです。

借金を相続してしまったときの2つの対処法とは

借金を相続してしまったらどうすれば良いのでしょうか。

通常、相続は「単純承認」と言い、すべての遺産を相続することが基本です。何の手続きもしなければ自動的に単純承認が成立となり、被相続人の財産を相続することになります。

プラスの財産が多いのであれば、単純承認を選択して良いでしょう。

しかし、マイナスの財産が多い場合はどうすれば良いのでしょうか。

借金を相続しても、必ず返済しなければいけないわけではありません。次のいずれかの手続きを選択することにより、借金を相続しない、返済をしないで済むこともあります。

  • 相続放棄
  • 限定承認

これらの手続きについて、詳しく見ていきます。

相続放棄をすれば返済義務はなくなる

相続放棄は、その言葉の通り相続を放棄する、つまり「最初から相続人でなかったことにする」というものです。すべての借金を放棄することになるため、預貯金や不動産などの資産も相続できません。

相続放棄をするためには、相続開始を知った日から3か月以内に手続きが必要です。

限定承認をすれば借金をプラス財産の範囲内で返済できる

限定承認は、プラスの財産の範囲内で借金を返済するというものです。相続放棄はすべての財産を放棄することになりますが、限定承認を行えば借金を返済してプラス財産が残れば財産を相続できるため、自宅などを相続することも可能です。

限定承認を行うためには、相続人全員の協力が必要です。また、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。

限定承認は相続財産管理人の選任、債権申出の公告・催告、相続財産の換価、余財産の処理など手続きが複雑であるため、専門家の協力を得て手続きを進めることが大切です。

相続を放棄する際の注意点

相続を放棄すると借金だけでなく財産も放棄することになります。その他にも、相続放棄をする前に知っておくべき注意点があるので紹介しましょう。

主な注意点が、次の3つです。

  • 放棄した借金はほかの相続人が相続してしまう
  • 遺産分割協議では相続放棄にならない
  • 一度返済してしまうと相続放棄できないことがある

それぞれの注意点について見ていきます。

放棄した借金はほかの相続人が相続してしまう

相続放棄をすると、相続人ではないこととなります。
 
しかし、相続放棄はあくまでも申し立てをした本人のみが該当するものであり、他に相続人がいれば借金はその他の相続人が相続することになってしまいます。

相続放棄は、相続人全員が行うことが可能です。相続人が複数いる場合、相談せずに手続きを進めるとトラブルになる可能性もあるので注意しましょう。

遺産分割協議では相続放棄にならない

遺産について話し合うのが、遺産分割協議です。プラスの財産を分けるために遺産分割協議が行われるため、その場で相続放棄をすることはできません。

また、協議に参加したことそのものが「相続する意思がある」と判断されてしまう可能性があるため、注意が必要です。遺産分割協議を実施する際は、慎重に行う必要があります。

一度返済してしまうと相続放棄できないことがある

相続を放棄する前に債権者からの督促を受けて借金を一度でも返済すると、「相続した」と判断され相続放棄ができない場合があります。

誤って返済してしまったとしても、状況によっては相続放棄ができるケースもあります。

故人の未払いだった電気代や水道代を支払った後に消費者金融の借金が発覚した場合、故人の借金を一部返済してしまった、と言えるため相続放棄はできないと考えることはできます。しかし、故人に借金があるかどうかを知らないケースは少なくなく、特別な相続手続きをしない単純承認をしているはずです。

その後、借金が発覚したからと言って相続人が債務まで相続するのは、相続人にとっても酷なことです。

そのため、最高裁では借金があることを一切知らなかった、このように信じるだけの相当な理由がある場合は、相続開始から3か月が経過していても相続放棄できる余地を認めた判例があるのです。

借金があることを後から知ってしまった場合は、借金を相続しなければいけないと諦めずにまずは専門家に相談してみましょう。解決策が見つかるかもしれません。

相続放棄には期限がある!手続きの流れをチェック

相続放棄はいつでもできるわけではなく、相続の開始があった時から3か月以内に家庭裁判所に手続きすると期限が設けられています。

この3か月は熟慮機関となっており、この間に相続放棄をするかどうかを決めなければいけません。

手続きの流れを見てみましょう。

  1. 家庭裁判所で相続放棄申述書を入手する
  2. 添付書類と共に家庭裁判所に提出する

必要となる添付書類はこちらです。

  • 被相続人の戸籍の附票または住民票の除票
  • 申述人の戸籍謄本
  • 被相続人の死亡がわかる戸籍謄本

無事に相続放棄が認められれば、相続放棄申述受理通知書が届きます。

ちなみに、相続放棄手続きを自分で行うと、相続人1人につき印紙代や除籍謄本、郵便切手などを合わせて3,000円程度がかかります。

司法書士や弁護士に相続放棄手続きを依頼することもできます。その場合は、相談料や申述書作成代行費用、手数料として合計で2~5万円以上かかります。

借金を相続すると相続税でマイナス分を控除することができる

相続税を計算する際、債務や葬式代などの費用を差し引いて計算することができます。つまり、借金を債務控除することができるのです。

相続財産から相続した借金を引いた残りの金額が基礎控除以下となれば、相続税はかかりません。

債務控除の対象となる借金を確認しておきましょう。

  • 第三者からの借金
  • 連帯債務

債務控除対象外の借金もある

相続税を計算するときに注意しなければいけないのは、債務控除にならない借金もあるという点です。

債務控除対象外の借金もしっかりと確認しておきましょう。

  • 保証債務
  • 団体信用生命保険が付与された住宅ローン

団体信用生命保険がついている住宅ローンは、債務者である被相続人が死亡したことで債務が補填されるため債務控除対象にはなりません。

団体信用生命保険について、その概要や制度の案内、加入にあたっての資料など、全国信用保証協会連合会の公式サイトでも紹介されています。ぜひ参考にしてください。

住宅ローンを融資する際には必ず加入しなければいけないため、わざわざ確認しなくても良いかもしれません。しかし、フラット35は団体信用生命保険に加入しなくても利用できるケースがあるため、不安であれば債権者に加入の有無について確認してみましょう。

また、住宅ローン以外にも団体信用生命保険を適用しているケースもあります。

  • 介護ローン
  • リフォームローン
  • 教育ローン

これらの借金がある場合は、団体信用生命保険に加入している可能性もゼロではありません。債権者に確認しておくと安心です。

借金があったときの相続税計算方法

具体的に、借金を含む相続をした際の相続税計算はどのように行うのでしょうか。

今回は、以下のケースで相続税を計算してみます。

  • 財産:プラスが8,000万円、マイナス(借金)が1,000万円
  • 葬儀費用:300万円
  • 相続人:配偶者、子ども2人の計3人

まずは基礎控除を計算します。基礎控除は、3,000万円+(600万円×相続人の数)となるため、今回のケースでは3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円です。

ここから、課税遺産総額を計算していきます。課税遺産総額とは、基礎控除額やマイナスの財産(借金)、葬儀費用をプラスの財産から引いたものです。

今回のケースでは、8,000万円(プラスの財産)-4,800万円(基礎控除)ー1,000万円(借金)-300万円(葬儀費用)=1,900万円が課税遺産総額となり、この金額から相続税を計算することになるのです。

では、いよいよ相続税を計算します。法定相続分に従い課税額を計算して求めてみましょう。

配偶者の場合は、1,900万円×2分の1=950万円、子どもが2人いる場合は残りの2分の1が子どもの相続分です。子どもが2人いるので、2分の1×2分の1=4分の1ずつで計算します。1,900万円×4分の1=475万円ずつの計算ですね。

あとは、相続税の換算表に基づいて相続税を算出します。

法定相続分に応じる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% なし
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円

今回のケースでは、配偶者の税額は950万円×10%(税率)-0円(控除額)=95万円、子どもは475万円×10%(税率)-0円(控除額)=47万5,000円ずつです。

そして、95万円+47万5,000円+47万5,000円=190万円が相続税の総額となるのです。

相続税を計算するにあたり、債務控除の有無は結果に大きく関わってきます。借金、葬儀費用を明確にし、プラス財産からきちんと引いた状態で計算するようにしましょう。

相続放棄のメリット・デメリットまとめ

相続放棄のメリットとデメリットについてまとめていきます。

まずは、相続放棄のメリットです。

借金を相続しないで済む 借金の元金や利息、遅延損害金を
支払う必要がなくなる
もめ事がなくなる 相続に関するもめ事から逃れられる

デメリットについても見てみましょう。

すべての遺産の放棄が原則 相続放棄をするとプラスの遺産
(現金や不動産)も放棄することになる
1度放棄すると撤回ができない 一度相続を放棄すると
原則撤回・取り消しは不可能
他の相続人とトラブルになる
可能性がある
相続を放棄すると残った相続人で
借金を相続することになるため
相続人間でトラブルになる可能性がある
財産を使用してしまうと
相続扱いになってしまう
故人の財産を使用・処分してしまうと
すでに相続したとみなされ
相続放棄できないことがある
不動産の管理義務が残る場合がある 家屋や土地、農地、車、山林がある場合は
管理責任を追及させる恐れがある

注意しておくべきなのは、「財産を使用してしまったことで相続をした」とみなされてしまう点でしょう。

相続放棄や限定承認をした後でも、相続財産の一部を使用することで相続放棄や限定承認が取り消されてしまうことがあります。これが、法定単純承認です。

財産の使用とは、具体的にどのようなケースが挙げられるのでしょうか。

  • 不動産や動産を売却・譲渡する、名義を変更する
  • 現金や預貯金を使う

不動産の管理義務は、あくまでも管理するだけの義務です。家屋の老朽化や東海の恐れがあれば対応しなければいけませんし、何か事故が起これば損害賠償を求められることもあります。

だからと言って相続を放棄している人が土地や家屋の名義を変更することは管理行為を超えるものであり決して行ってはいけません。

他の相続人が管理をすることを決めるか、遺産を管理・清算する相続財産管理人を選任することを検討しましょう。相続財産管理人を選任し、職務を行ってもらう際には経費や報酬が発生しますが、こちらは相続財産から支払うことになります。

故人の財産を使用することは相続放棄においてのNG行為ですが、葬儀費用については被相続人の財産から支払っても相続財産を使用したと判断されないとする判例もあります。支払った費用や目的を明確にするためにも、領収書などはしっかりと保管しておきましょう。

相続した借金に過払い金があるケースもある

相続財産の中にマイナスの財産(借金)があっても、過払い金請求をすることでプラスになることがあります。

過払い金とは

利息制限法の上限利率を超えた金利を支払っていた場合に発生するもの。上限利率で計算をし直し、過払い金があれば返還してもらうことができる。

過払い金の有無は、弁護士や司法書士に依頼することですぐに調べることができます。無料で調査してくれるところがほとんどですので、必ず確認してもらいましょう。

もし過払い金が発生していれば、相続人にも過払い金返還請求の権利があります。

借金が30万円あったとしても、過払い金が50万円あれば借金は相殺され20万円のプラス財産が発生することになります。

借金があるからと安易に相続放棄をするのではなく、その借金が減額できる可能性があるかどうかについて確認しておきたいですね。

借金には時効があるため消滅時効の確認も大切

個人の借金は最後の弁済から10年(2020年4月1日以降の場合は5年)が経過すると時効となります。

つまり、被相続人である故人の借金も時効を迎えている場合は、返済する必要がなくなるのです。

しかし、消滅時効はただ待っていれば自然に成立できるわけではありません。時効は以下の条件で更新・中断されることがあります。

  • 借金返済を求める訴訟で判決が確定した
  • 裁判上の和解など確定判決と同様の権利が確定した(支払い督促の確定や和解・調停など)
  • 強制執行手続きが取り下げられず手続きが終了した
  • 借金があることを認めた
  • 一度でも借金を返済した

これらに該当してしまうと、時効が更新されて再び10年もの期間が経過するのを待たなければいけないのです。

また、時効期間が無事に経過できていたとしても、消滅時効を成立させるためには時効援用手続きが必要不可欠です。

時効援用手続きは、債権者に対して消滅時効を援用するという通知を内容証明郵便で送付するものです。このとき、時効が更新・中断されていれば債権者に対して借金を認める行為をとってしまったことになり、時効援用手続きが失敗となってしまいます。

昔の借金に対する返済を求められているのであれば、時効が成立していないか、時効援用手続きを行って問題ないか弁護士や司法書士に相談して確認してみることが大切です。

借金を相続したらまず弁護士や司法書士に相談しよう

借金を相続してしまった場合、その借金は必ず返済しなければいけないとは限りません。相続放棄、限定承認などの手続きを選択することもできますし、過払い金があれば借金額が減る可能性があります。

これらを個人で調べ、判断することは簡単ではありません。相続については、弁護士・司法書士などの専門家に速やかに相談することが大切です。

弁護士や司法書士に相談をすれば、本当に相続を放棄しても良いのかを判断できるだけでなく、相続放棄の手続き方法について詳しく教えてもらうことができます。また、依頼すれば書類作成などのサポートを行ってもらえるのも魅力です。

相続放棄を弁護士、司法書士に依頼するとどのような違いがあるのか、表でまとめてみました。

手続きの範囲 費用 代理人
弁護士 ・書類作成や裁判所への出頭など
すべてを代行してもらえる
・書類などは弁護士に届く
高め なれる
司法書士 ・書類作成のサポート(※記入は本人のみ)
・様々な書類が本人に届く
低め なれない

どちらに依頼するのかについては、それぞれの特徴をチェックすることはもちろん、相談料がかからない(安い)、何度でも相談できる、安心して依頼できるなど様々な点から考えることが必要です。

借金の相続についてよくある質問

借金の相続についてよくある質問をまとめてみました。

被相続人に借金があるのですが相続しなければいけませんか?

相続はプラスの財産だけでなくマイナスの財産も対象となるため、相続人である以上は相続することとなります。

しかし、相続放棄や限定承認などの手続きを選択することで、返済負担を軽減することは可能です。

借金を相続してしまったらどうすれば良いですか?

まずはその借金が本当に支払わなければいけないものなのかを確認しましょう。時効が成立していないか、過払い金がないかについては、弁護士や司法書士に相談すれば調べてもらうことができます。

また、団体信用生命保険に加入していて返済義務がなくなっていますから、債権者に加入の有無を確認してみると良いでしょう。

これらの確認後、借金を含めて相続するかどうかを考えることになります。相続放棄が最善ではないケースもあるので、専門家に相談することがおすすめです。

遺産分割協議に誘われていますが参加しても良いですか?

遺産分割協議に参加してしまと、相続の単純承認と判断されてしまうため相続放棄はできません。

協議に参加していなくても、署名・捺印をしてしまった場合も同様です。

相続放棄前に借金の返済を求められたらどうすれば良いでしょうか?

相続放棄をするのであれば、手続き中であるため支払う意思がないことを伝えてください。

相続放棄後に督促がきた際にも、相続放棄をした旨を回答すればOKです。相続放棄をすると相続放棄申述受理証明書が交付されますので、こちらを提示すれば相続放棄を証明することができます。

3か月の期間を過ぎてしまった場合は相続放棄できませんか?

被相続人が死亡し、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内の手続きが原則です。しかし、相続人であることを知っていても財産状況が分かっていないなどのケースで3か月経過後も相続放棄できることがあります。

また、相続放棄の期間内(3か月以内)であれば、相続放棄の期間を延長することも可能です。家庭裁判所に申し立てをしましょう。

相続放棄をすると戸籍や信用情報に影響しますか?

相続放棄をしても戸籍や信用情報に登録されることはなく、入学や就職、ローン、クレジットカードの作成などに影響することはありません。

相続した借金は相続放棄や限定承認という手続きで対処できる

相続の中には、マイナスの資産である借金も含まれます。高額な借金を相続してしまった場合、返済が難しく苦しい状況に陥る可能性もあるでしょう。

しかし、相続放棄や限定承認という手続きを選択することで、相続そのものをしない、プラスの財産で返済できる分だけ返済するなどの対応は可能です。

故人に借金があるかどうか生前から把握しているケースは多くないでしょう。また、いざ借金が発覚したときにどのように対応するのが適切かを自分で判断し手続きするのも簡単ではないかもしれません。

だからこそ、相続時には弁護士や司法書士など専門家に相談してください。適切な対処法についてアドバイスがもらえますし、依頼をすればスムーズな手続きを行うことができるでしょう。

>